先日、金融庁から発表された、「高齢社会における資産・管理」では退職してからの30年間で約2,000万円が不足するというモデルケースが描かれています。
従業員の川根さんから「iDeCo」って何ですか?
という質問がありましたので今回はiDeCoについて解説致します。
iDeCo(イデコ)は、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度の1つです。公的年金と異なり、加入は任意となります。
加入の申込、掛金の拠出、掛金の運用の全てをご自身で行い、 掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受け取ることができます。国民年金や厚生年金と組み合わせることで、 より豊かな老後生活を送るための一助となります。
iDeCoのメリット
掛金が全額所得控除!
大きなメリットとして所得控除が受けられることがあります。これは、所得からiDeCo積み立て分を引いて所得課税されるということです。
例えば、毎月の掛金が2万円の場合、その全額が税額軽減の対象となり、所得税(10%)、住民税(10%)とすると年間4.8万円、税金が軽減されます。
20年で約100万円近くの節税になります。
運用益も非課税!
通常、金融商品を運用すると、運用益に課税されますが(源泉分離課税20.315%)、「iDeCo」なら非課税で再投資されます。
例えば、毎月2万円の掛金で30年積み立て、投資元本が720万円に対して運用益が1,000万円になっていた場合、通常であれば、1,000万円-720万円=280万円×20.315%=568,820円が課税されますが、iDeCoなら非課税です。
受け取る時も大きな控除!
「iDeCo」は年金か一時金で、受取方法を選択することができます(金融機関によっては、年金と一時金を併用することもできます)。
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。
差し押さえ禁止財産扱いになる
iDeCoは差し押さえ禁止財産の扱いになります。例えば破産してしまった場合など、貯金や不動産などの財産は差し押さえ対象の財産になります。iDeCoの積み立て額に関しては、年金扱いということで資産保全がされます。法的に差し押さえられません。
iDeCoのデメリット
運用中の資産を引き出せない
iDeCoは積み立て始めたら60歳まで資金拘束されます。つまり、途中でお金が必要になったから引き出す、ということが出来ないのです。
口座開設・維持に意外と手数料がかかる
iDeCoでは口座開設・維持に、それぞれ手数料がかかります。
まずiDeCoに加入する時に最低でも2777円を、運用期間中も月額167円を支払います。iDeCoを取り扱う金融機関によっては、さらにこの額にプラスして手数料を支払うことがあります。
まとめ
勤務先に企業年金(企業が会社員に対して年金を支給する制度)がない会社員の場合、掛け金の上限額は2.3万円となっています。
仮に、毎月2.3万円を30年間年平均リターン5%運用した場合、約1,900万円になります。ご夫婦二人で行うだけで約3,800万円にもなります。
これに加え、所得税・住民税率が20%の人の場合、30年間で約165万円節税になります。
仮に貯蓄で同様なことを行っても、約800万円しかならず、老後の必要資金には到底及びません。
iDeCoは月々5,000円からの掛金ではじめられます。
「投資は難しい」・「投資は怖い」・「お金がない」と金融リテラシーを高める努力もせず、会社や国のせいにするのは、ラクチンですが、未来の老後は残酷なものとなっているでしょう。
投資は自己責任で。