不動産会社のCBREは、このほど発表した「今後の大阪の不動産市場の行方~2030年に向けて~」というリポートで、大阪の商業の中心地であるミナミ(心斎橋や難波など)の近未来を予測した。現在計画されている再開発が実現すれば、目抜き通りである御堂筋の高級ショッピングストリート化がさらに加速するという。
変貌する心斎橋エリア
大阪への訪日外客数は、インバウンドの増加が本格化する前の2011年に140万人で あったのに対して、2018年(推計)は1,140万人と8倍となりました。
同期間の全国の訪日外客数の増加(621万人から3,119万人に5倍の増加)を大きく上回っています。この増加のけん引役となっているのが心斎橋・難波エリアです。
御堂筋沿いの心斎橋界隈には、ラグジュアリーブランドの旗艦店舗が集積し、沿道の銀杏並木とともに高級感のあるハイストリートとなっています。
近年、日本人に加えて外国人旅行者の往来が増加しているために、店舗の新規出店ニーズが増えています。
今後控えている複数のプロジェクトは、御堂筋のハイストリート化をさらに促進すると考えられます。
「ルイ・ヴィトン」が大阪・心斎橋に日本最大の店舗 世界初のカフェ&レストラン併設店
「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、大阪・心斎橋の御堂筋沿い(大阪市中央区心斎橋筋2-1)に日本最大の広さを誇る店舗ビル、ルイ・ヴィトン御堂筋店を2020年初頭に開く。
最上階には東京のレストラン、SUGALABOの須賀洋介オーナーシェフのカフェ&レストランもオープンし、世界初のカフェ&レストラン併設店となる。ビルのファサードは同ブランドの数々の店舗を手掛けてきた建築家の青木淳が、各階の内装はニューヨークを拠点にする建築家ピーター・マリノ (Peter Marino)がデザインする。
ウィメンズとメンズのバッグやアクセサリー、ウエア、ウオッチ&ジュエリーなどフルラインアップで取り扱う。
大阪万博の不動産市場への影響
オフィスセクターについては、万博をビジネス機会と考える企業による新規開設や拡張ニーズの増加が見込まれています。
とりわけ、今回の万博のテーマに関連性の高い医薬・製薬業やAIをはじめ最新のテクノロジーを手掛ける企業の需要は高まるでしょう。
リテールならびにホテルセクターについては、訪日外国人のみならず国内旅行者の増加によるさらなる需要創出が見込まれます。
統合型リゾート(IR)の不動産市場への影響
旅行者の増加により、リテールならびにホテルセクターには直接の恩恵がもたらされます。
オフィスセクターについても一定の需要増が期待できます。大阪市の試算によると、建設を除く雇用だけで年間8~13万人の創出効果が見込まれています。
既に大手建設業では、夢洲の万博・統合型リゾートに向けたチームの新規開設や人員拡大の動きがみられています。
不動産業についても、新たに開発される事業用不動産において施設管理や運営が必要となります。
ゲームや通信・ソフトウエア関連業は、カジノ向けの機器やシステム、セキュリティの開発などのビジネス機会が増えると考えられます。流通・サービス業は統合型リゾート(IR)向けの宿泊や飲食、物販などによるビジネス機会が増えると推測されます。
まとめ
「向こう10年、大阪は大きく変貌する。オフィスを中心とする‘キタ(梅田)’と、商業を中心とする“ミナミ(心斎橋・難波)”は、大型プロジェクトとともに街の特性をさらに強めていくだろう。これにMICEや商業、観光拠点となる“二シ (夢洲)”が加わることで、大阪の事業用不動産市場のさらなる発展・成長を促すだろう