不動産価格の動向が気になる人が多いかと思います。
今日は不動産価格の今後の動向について2020年問題を絡め、解説していきます。
不動産価格の動向に影響する要因とは?
不動産価格の動向を知る上で、下記の要因が考えられます。
1.金利・経済
不動産価格と金利・経済は密接に関係します。
高金利・好景気のタイミングで不動産価格は上がり、低金利・不景気のタイミングに下がる傾向にあります。
ただ、日本は現在マイナス金利政策により低金利状態が続いているため、融資を利用して不動産を購入しやすい状況のなので、不動産価格は上昇基調となっています。
2.投資・利回り
一生に一回の買い物であるマイホーム需要よりも、不動産投資家がおこなう売買のほうが頻度は多く、市場に与える影響も大きいです。
そのため、投資家がどう動くかは不動産価格に大きな影響を与えます。
日本を含め先進国の債券価格が高騰している(利回り低下)ため、債券から現物資産である不動産市場にお金が流れてきております。
3.政策・国際情勢
政策や情勢も不動産価格に影響を与えます。
例えばリーマンショックやコロナショックなどは、大きな影響を与えました。
その他、経済的に近い影響のあるアメリカ等の先進国の経済が不安定になった場合に商業用不動産の価格が下落する可能性はあります。ただ、居住用不動産に関しては生活必需品なので、大きな下落等は考えにくいと言えるでしょう。
不動産価格が上昇傾向である理由
アベノミクスの影響などにより、不動産価格は上昇傾向にあります。また、価格が上昇していても不動産取引はかなり活発なので、これからも価格に関しては高い傾向が続く可能性が高いです。
不動産取引が活発な理由として挙げられるのは
- 金融緩和による投資家の増加
- 老後2,000万円問題によるサラリーマン大家の増加
- 相続税の税金対策として不動産を購入する人が増加
- 円安による外国人投資家の増加
等が挙げられます。
今後の価格動向
近年、不動産業界の大きな懸念に、「2022年問題」というものがあります。これは「生産緑地」というものが原因でおこる問題です。
市街化区域内にある農地のことを生産緑地と言います。
1990年代に市街化区域の指定が進み、区域内の農地には固定資産税・相続税を引き上げることで宅地転用を促しました。
しかし、都市部に緑がなくなり、環境の悪化などのデメリットも起こりうるということで、国・自治体が指定した農地は宅地転用しなくても良いことになりました。
これが1994年に施行された生産緑地法です。この優遇策は30年の期限付きとなるため、
今後は3つの通りの方法で処理することになっています。
- 自治体に買取申請をする
- 農業者に売却
- 税負担増になっても所有する
ただ、問題点として自治体も財政難で買取ができなかったり、農家も後継者不足で農地を購入する人も減少することでしょう。結局、所有し続ける人が多くなり、税負担から不動産会社等に売却依頼が増えると想像できます。
生産緑地は都心部より地方中核都市に多いです。
不動産は、居住目的と投資目的の大きく2種類に分けられます。
このうち不動産投資のほうが頻繁に取引されているためマーケットが強固で、かつ居住用のマーケットに影響を及ぼすことも少なくありません。
都市部は投資家がコロナ禍でも取引をしているため、値崩れはしにくいと言えます。
その一方、地方・郊外は不動産の取引量が元々少ないことに加え、2022年問題で生産緑地の売却依頼が増えると、取引価格も下落するだろう考えられます。
PM担当 大森 一平