「将来、年金はいくらもらえるの?」
年金不安で、投資を始める人が多くなっています。
とはいえ、自分がもらえる年金額がわからなければ、どのくらい資金の準備をする必要があるのかがわかりません。
今日は、年金制度の基本と、将来もらえる年金額について解説します。
日本の年金制度
日本の公的年金は国民年金と厚生年金の2種類あります。
国民年金
国民年金は「基礎年金」とも呼ばれるものであり、20歳以上60歳未満の国民全員が必ず加入することになっている年金です。
国民年金の保険料は定額であり、令和3年度は月額16,610円となっています。
加入期間が満期の40年間ある場合には満額がもらえますが、それより少ないと少しずつ減っていくシステムです。
国民年金の計算式
約78万円(年額)×(加入月数÷480)
65歳から月々で約6.5万円もらえることになります。
厚生年金
厚生年金保険は、国民年金に上乗せされて給付される年金です。
基礎年金となっている国民年金の金額に、厚生年金保険の受給額が加算され、合計金額をもらうことになります。
厚生年金保険の対象者は、会社員や公務員です。
厚生年金の原則的な計算式
A.平均標準報酬月額×0.007125×平成15年3月までの加入月数
B.平均標準報酬額×0.005481×平成15年4月以降の加入月数
A+B=厚生年金の年金額
「平均標準報酬月額」や「平均標準報酬額」というのが、ざっくり言って加入期間中の平均の月額給与です。
例えば、平成13年(2001年)4月入社で令和20年(2038年3月)退職の場合、
加入期間中の平均月額給与が40万円の場合、
A.40万円×0.007125×24ヶ月=68,400円
B.40万円×0.005481×420ヶ月=920,808円
A+B=989,208円
その他、加給加算、振替加算等があり、一定の条件を満たしている方はこの他に年金の加算が受かられる場合があります。
加給年金
一定の条件を満たした配偶者や子を扶養している場合、老齢厚生年金に加算を受けることができます。
一般的には配偶者については扶養する側が65歳になってから扶養される側が65歳になるまでの間、年額約39万円の加算が受けられます。
子については扶養する側が65歳時点で原則18歳の年度末に達していないことが条件なので、受けられるケースは多くありません。
振替加算
配偶者の加給年金が終了した後、一定の条件を満たせば加給年金打ち切り後に扶養されている側の年金に少額の加算が受けられます。
計算された年金額は増減する場合がある
年金の計算方法を見てきましたが、計算された年金がそのままの金額で受け取れるとは限りません。ほかに収入があったり、年金の受給開始時期を早めたり遅らせたりすれば年金額は変わってきます。
具体的には以下のような事情がある場合です。
- 給与収入がある場合など…収入の種類や額に応じて減額がある場合がある
- 繰上げ受給…早めて年金をもらうと減額される
- 繰下げ受給…65歳以降に年金の受給を遅らせると増額される
また、年金には「物価スライド」という仕組みがあり、物価や現役世代の賃金の増減に合わせて毎年少しずつ変動します。一度決まった年金額は一生涯そのまま、というわけではありません。
詳しい計算は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認!
年金の計算式は非常に複雑です。実際の年金額は人それぞれ全く異なるのが通常ですので、実際の年金額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認するのが必須と言えます。
「年金がもらえるかわからない」
「年金が減る」
「年金は払い損」
とおっしゃる方は多いですが、現状を把握しないのではなく、公的年金の年金額が把握できれば、次のステップは老後の生活はそれだけで賄えるのかの検証、賄えないとしたならばいくら不足するのか、不足分をどうやって用意するのか、ということをもう一歩突っ込んで考えることが重要です。
年金不安=知らないだけ
きちんと、把握して老後の準備の第一歩を始めていきましょう。