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  • 【悲報】過去最大!2022年火災保険料の改定

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    2022年の火災保険料は10%程度の引き上げ

    損害保険料率算出機構は、住宅総合保険の参考純率(各保険会社が保険料算出の際に目安として使用する純保険料率)を全国平均で10.9%引き上げることを2021年6月16日に発表しました。

     

    また同時に、参考純率が適用できる期間を最長10年から5年に変更しました。

     

    これを受けて、2022年は損害保険会社各社の火災保険料が引き上げられ、長期契約は最長5年になります。

     

    実務的には、損害保険会社各社は住宅総合保険の発展形の火災総合保険等を主として販売していますので、おおむね10%前後の値上がりになりますが、各社値上げの時期や値上げ幅にはばらつきがあると思われます。

     

    保険金額を建物2,000万円、家財1,000万円とした場合の、主な改定率は下記のようになります。

     

    ※築5年未満の場合

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    ※築10年以上の場合

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    火災保険料は値上げが繰り返されるのか

    改定の主な理由としては、以下の点が考えられます。

    大規模な自然災害の多発

    損害保険料算出機構は2017・2018年度に発生した災害の影響を踏まえて、既に2019年10月に参考純率を平均4.9%引き上げました。

     

    しかし、2019・2020年度にも台風、大雨など天災の増加により、土砂崩れ、水害などの大規模な自然災害が発生し多額の支払保険金が生じ、保険会社の火災保険の収支は悪化傾向にあります。このため、さらに保険料を引き上げることが必要となりました。

     

    また、自然災害のリスクは今後も一層高まっていくと見込まれることから、その対応策として参考純率の適用期間を最大5年に変更し、リスクの変動を保険料に反映しやすくしています。

     

    リスク傾向の反映

    築年数の古い住宅は、新しい住宅に比べ、電気、給排水設備の老朽化の影響で火災・水濡れリスク・台風・大雪などによる損壊リスクが高くなり、火災保険の引き受けリスクも高くなる実態があります。

     

    今後も、住宅全体に占める築年数の古い住宅の増加が見込まれることから、リスク傾向を参考純率に反映するためにも、保険料の引き上げが必要となりました。

     

    地震保険の料率も改定

    損害保険料率算出機構は、2021年6月10日に地震保険の料率の変更にかかる届け出を行い、基本料率(※1)は全国平均で0.7%の引き下げとなります。

     

    改定の主なポイントは、

    ①基本料率の見直し

    3段階(2017年、2019年、2021年)に分けて改定した保険料不足を解消するため、基本料率は全国平均で1.6%の引き上げ。

    ②各種基礎データの更新

    震源モデル、地盤データ、住宅・土地統計調査、地震保険契約データなど、保険料算出の基礎となる各種データの更新により、基本料率は全国平均で2.3%の引き下げ。

    ③所在地・構造別の基本料率の見直し

    基本料率の改定の際には、契約者の保険料負担が急激に増加しないよう、引き上げの上限を設定する措置(激変緩和措置)を講じています。

    ①~③を見直すことで引き上げ率は最大+29.9%(茨城県、埼玉県、徳島県、高知県のイ構造(※2))となりました。なお、最大引き下げ率は大分県のロ構造(※3)で▲47.2%です。

     

    (※1) 基本料率=割引率および長期係数を適用する前の料率

    (※2) イ構造:耐火性能を有する建物および準耐火性能を有する建物

    (※3) ロ構造:イ構造以外の建物

     

    火災保険を見直す際のポイント

    ①保険料と補償内容のバランスを検討する。

    火災保険の保険料が約10%値上げされ、保険期間が短縮されるにあたり、まず考えられる方法として改定前の2021年内に中途更改をし、旧保険料で最長10年契約を結ぶケースがあるでしょう。

    最大の効果を期待するのなら長期一括払いが望ましいのですが、保険料の支払いにはまとまったお金が必要になります。

    しかし、新型火災保険は保険料が引き上げられるタイミングで、補償内容が充実してきています。

    保険料をいかに安く済ませるかばかりに目が行くと、肝心の補償の面で不備が出る可能性がありますので、保険料と補償内容のバランスを検討した上で見直しをすることが重要です。

     

    ②自己負担(免責)額を検討する

    住宅総合保険以降に発売された新型火災保険(※)では、自己負担額の設定が可能となっています。「自己負担額・免責金額」には0、3、5、10万円などがあります。

    自己負担額を大きくすると保険料を下げることができます。

    風災、落雷などで軽微な損害の場合は自己負担額より損害額が小さく保険金を受け取ることができない場合もありますが、火災、爆発、水害など比較的大きな損害の場合は、受け取る保険金に対して自己負担額が大きな割合にはならない傾向があるため、火災保険の見直し時に検討することは効果的です。

     

    (※)新型火災保険:大手(3社)を中心に2010年1月から発売され、このときに「自己負担額・免責金額」がはじめて導入されました。これは自動車保険の車両保険における免責金額と同じ考え方で、「自己負担額・免責金額」を設定することにより保険料を安くすることが可能です。

     

    ③地震保険付き火災保険の場合は、中途更改による地震保険の値上がりに注意

    火災保険に原則同時付帯される地震保険は、全国平均で2017年+5.1%、2019年+3.8%、2021年+5.1%と3回引き上げられています。

    そのため、長期契約の地震保険付き火災保険を中途更改する場合、火災保険料+地震保険料の合計額が従来より高くなるケースがあります。

    2022年以降は地震保険の引き下げも予定されているため、火災保険、地震保険の保険料の検討は注意が必要です。

     

    ④戸建てやマンション低層階は水災補償の不担保に注意

    水災担保については、戸建ての場合は吟味を要します。天災の中でも水災の被害額は一般的に大きいので、戸建てなら今まで水害の出なかった場所でも水位があがるかどうかの検討が必要です。

     

    マンションの場合も、低層階の場合は排水処理が間に合わないほどの豪雨の際は、排水溝からの逆流による建物・家財に水被害が出るケースが確認されていますので同様の検討が大切です。

     

    台風、集中豪雨、川の氾濫、土砂崩れ、土石流発生などが、ここ数年日本全国で発生しています。

    従来の経験に基づくリスク判定が通用しない場面が多々出現していますので、気候変動による災害リスクも考慮することが不可欠となりました。

     

    火災保険の見直しアドバイスをする場合は、単に保険料の面からの損得だけではなく、各種ハザードマップの活用や、長期的な洪水予測などによる火災以外の天災リスクに十分対応済みかどうかの総合的な見直しが必要でしょう。