本日は住宅ローンのルーツや金利推移について解説していきます。
住宅ローンのルーツ
住宅ローンのルーツは、明治30年(1897年)に現在のみずほ銀行の創設者である安田善次郎氏が東京建物を設立して始めた住宅の割賦販売です。
本格的に広がったのは、1950年に住宅金融公庫が設けられてからです。
公庫融資は当初より固定金利のみでした。
1970年代には「住宅の質的向上」が重視されて公庫融資基準が設けられ、その後も制度改正が行われ、景気対策の一環として融資戸数の増加が図られてきました。
1960年代以降は民間金融機関による住宅ローンが本格化し、次第に新規貸し出し額で公庫と競うようになります。
その後、公庫は2007年3月で廃止され、債権は独立行政法人住宅金融支援機構へ承継されました。
現在は、証券化支援による長期固定の「フラット35」をメインの事業としています。
民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)
※ 主要都市銀行のHP等により集計した金利(中央値)を掲載。なお、変動金利は昭和59年以降、固定金利期間選択型(3年)の金利は平成7年以降、固定金利期間選択型(10年)の金利は平成9年以降のデータを掲載。
※ このグラフは過去の住宅ローン金利の推移を示したものであり、将来の金利動向を約束あるいは予測するものではありません。
住宅金融支援機構HP抜粋
上記の図から今から30年前の1990年の変動金利の金利はなんと8.5%で住宅金融公庫の固定金利が5.5%でした。
※ちなみに当時の郵便貯金の定期貯金金利(3年以上)は、なんと6.33%でした。
2020年10月現在の金利は下記の通りとなります。
変動金利は最安値で0.380%、全期間固定金利でも最安値0.540%とかなり低い水準です。
総返済額の比較
では、最も高かった1990年の変動金利・固定金利と現在の金利で月々の返済額と総返済額についてシミュレーションしていきます。
※シミュレーション条件:3,000万円35年ローン元利均等返済の場合
1990年の場合
変動金利の場合、総返済額が元本の約3倍、固定金利でも元本の約2.2倍の支払いをしなければなりませんでした。
2020年の場合
両者とも、総返済総額が元本プラス約200万円~300万円程度でかなり抑えられています。
また、月々の返済額も半分~1/3程度に圧縮されています。
1990年の毎月返済額で現在の金利でどのくらいの住宅ローンが借りれるか
同じ返済額でも借入可能額が1990年当時より約2~3倍程度多くなってなります。
まとめ
昔は、不動産を購入するときは頭金が最低2割必要とよく言われておりました。
当然、30年前の金利で住宅ローンを組もうとすれば、返済額が高額になるため、返済額を減らすために頭金を多く入れる必要がありました。
また、その当時の預金金利が6%台とかなり高く、お金を預けるだけで金利が増えていた時代でした。
ただ、現在は預金金利も0.001%と超低金利時代ですので、お金は一向に増えません。
昔、マイホームを購入された方と、時代背景が全く違うため、鵜呑みにしてしまうと、損する可能性があります。
また、住宅ローン減税という制度があります。ローン残高の最大1%分が税金から還付金として戻ってきます。
0.380~0.580%の推移でお金を借りることが可能であれば、税金が戻ることにより実質はお金が増えている状態になります。
投資やマイホーム購入といった場合、親族に相談するケースが多いと思いますが、そこでご自身で考えないといけないことは『現在でも通用する内容かどうか』ということになります。